supermab.com   HOME > 歩留まり改善の実務 > 歩留まり改善の方法

HOMEへ 

当サイトで提供しておりますフリーのSeekとCombiCalcを用いた歩留まり改善方法について、2通りの方法を手順を追って説明いたします。
一発で最適解を得る方法は 【まとめ】 をご覧ください。

まず問題を整理しておきます。
花子さんは、ワークを無駄なく割付けられるように、3種類の長さの材料を組合せて手配しなければなりません。 「全ワークが割付可能で、材料歩留まりが最大になる 12m、11m、10m の各材料の本数を求める」という問題です。

【逐次改善法】  【総当たり法】  【まとめ】  【テクニック】





その1:逐次改善法

まず適当な材料の組合せに対して割り付けを行って、その解を改善してゆく方法です。
(計算には Seek を使用します。Seek詳細のページ よりダウンロードしてください)

実際にやってみましょう。

  1. リストのワークの延べ長さを求めると、切り代の 2mm を加算して
    ( 2731 + 2 ) x 21 + ( 2115 + 2 ) x 21 + ( 3938 + 2 ) x 21 = 184,590
    12m の材料だけで手配すると、 184,590 / 12,000 = 15.3・・・ ですから 16本必要です。
  2. Seek を使って、リストのワークを 12m x 16本に割り付け計算してみると、
    12,000〜7本3,938 x 3残=180 
    12,000〜1本2,731 x 3残=3,801 
    12,000〜1本2,731 x 4残=1,068 
    12,000〜7本2,731 x 22,115 x 3残=183
    の解を得ました。
  3. ここで、解の2行目を見ると残が 3,801 あるのでこの材料は 12m でなく 10m でも割り付け可能とわかります。 同じように3行目の材料は 11m に出来ますので、12m x 14本、11m x 1本、10m x 1本 の材料にも割り付け可能と判ります。
  4. Seek を使って今度は 12m x 14本、11m x 1本、10m x 1本 の材料に割付計算してみると、
    12,000〜6本3,938 x 3残=180  
    12,000〜2本2,731 x 4残=1,068  
    12,000〜6本2,731 x 22,115 x 3残=183 
    11,000〜1本3,938 x 12,731 x 12,115 x 2残=93
    10,000〜1本3,938 x 12,115 x 1残=3 
    の解を得ました。
  5. ここで、解の2行目を見ると、残が 1,068 あるのでこの材料は 12m でなく 11m でも割り付け可能です。
  6. 同じようにSeekをつかって 12m x 13本、11m x 2本、10m x 1本で割付すると、
    12,000〜1本3,938 x 12,731 x 12,115 x 2残=1,093
    12,000〜6本3,938 x 3残=180  
    12,000〜6本2,731 x 22,115 x 3残=183 
    11,000〜2本2,731 x 4残=68  
    10,000〜1本3,938 x 22,115 x 1残=3 
    の解を得ました。
  7. 今度は1行目に残が 1,093 の材料がありますので、12m x 12本、11m x 3本、10m x 1本で再計算すると
    12,000〜6本3,938 x 3残=180  
    12,000〜6本2,731 x 22,115 x 3残=183 
    11,000〜1本3,938 x 12,731 x 12,115 x 2残=93
    11,000〜2本2,731 x 4残=68  
    10,000〜1本3,938 x 22,115 x 1残=3 
    の解を得ました。

これ以上改善できませんのでこれで収束です。このとき歩留まりは98.6%となりました。








その2:総当たり法

その1では適当な初期解から解を改善しましたが、初期解の選び方によってはうまくゆかない場合があります。
そこで、必要延べ長さに最も近い(歩留まりの良い)順に材料の組合せを求め、それらの組合せのすべてについて割り付け可能であるか 検証すれば、必ず最適な解に到達できます。
計算には CombiCalc を使用します。CombiCalc詳細ページ よりダウンロードしてください
CombiCalc の使い方については使い方のアニメーションをご覧ください。

実際にやってみましょう。

  1. CombiCalc を起動し、合計値(T)として 184,590 をコピーします。探索範囲(α)は 1,000 のままでよいでしょう。
    つづいて、定数リスト(12,000;11,000;10,000)をコピーすると計算を開始します。
    これで12m,11m,10m の材料の組合せのうち 184,590 以上で 185,590 以下となる組合せをすべて列挙してくれます。
    結果は、11m x 5本、10m x 13本 のような解が15組あることがわかりました。このとき、材料の延べ長さは 185,000 で 必要延べ長さとの差は diff=410 となっています。
  2. つぎに、これらの材料の組合せに対してリストのワークすべてが割付可能かどうか Seek を使って検証します。
    実際に計算すると、どの組合せの場合も割り付け不能となりますので、必要延べ長さのみに対して最適となる組合せには 求めたい組合せが含まれていないことにが判ります。
  3. 次に、探索の範囲を拡張して同様に検証します。
    CombiCalc を起動し、合計値(T)の値として 185,590(=184,590 + 1000) をコピーします。
    これにより、先ほどの探索と重複することなく次の許容差内(+1000)を探索できます。 結果は、11m x 6本、10m x 12本 などの17個の組合せがあります。
  4. 先ほどと同様これらの材料の組合せに、ワークが割付可能か Seek で検証すると、割付可能な組合せと不能な組合せがあることがわかります。
  5. Seekの計算の結果、12m x 2本、11m x 12本、10m x 3本の材料に割り付けた時、最も段取り替えの少ない割り付けを得ました。
    12,000〜2本3,938 x 3残=180  
    11,000〜9本3,938 x 12,731 x 12,115 x 2残=93
    11,000〜3本2,731 x 4残=68  
    10,000〜3本3,938 x 22,115 x 1残=3 

このときの歩留まりは、99.17%となりこの問題の最適解が得られました。


まとめ

花子さんは総当たり法で計算し、12m x 2本、11m x 12本、10m x 3本のH鋼を注文して、上記の割付リストを製造部に渡しました。 これにより、12m x 16本で注文した場合と比べて 6m(1032kg) の材料を節約できました。
たった15分ほどの計算で、10万円以上の材料費と、1ton 以上の鉄の生産・再生にかかるCO2の無駄な排出を削減したのです。

日常的に行われる割り付け業務の中で、たった数行のワークリストからこのような差が発生しています。 鉄鋼業のCO2排出量は全産業の4割を占めています。数%の無駄であってもCO2排出量でみると 非常に大きな割合を占めているのです。子供たちの未来のためにも、きっちり計算して無駄を省いていただきたいと願っています。

※Blizzard-LP (シェアウェア)をご利用下さると、一発で最適解を得ることが出来ます。
【一発で最適解を得る】 もご覧ください。

HOMEへ

Seek詳細へ戻る


テクニック

歩留まり改善小技集はこちら

Copyright © 2008-2011 supermab.com
All rights reserved.